長引く痛み(慢性疼痛)の治療法
日本中で、何らかの痛みに対して治療をうけている人数は、
2015年以降の5年間で約1.5倍に増加しています。
痛みとはなぜ起きるのでしょうか?
もとは、危険な状態から体を守るため警告信号として存在します。
痛みは主観的なものであり、個人差が大きいものです。
身を守るはずの働き自体に不都合を生じます。
多くは、治療に応じて痛みは改善します。
しかし、一部では治療をしても改善が乏しく、長期化します。
特に、腰痛、肩痛、膝痛が慢性痛になりやすくなります。
近年、痛みのメカニズムが徐々に分かるようになってきました。
長期化する痛みについても治療選択肢が増えています。
今回は、長引く痛みについて整頓します。
痛み種類➡急性、慢性
お困りの方に対して、慢性疼痛治療ガイドラインができました。
厚生労働省:慢性痛への対策研究
(リンクあり、クリックしてください))
慢性疼痛に悩む人:15~22%、5人に1人が慢性痛に困っています。
また、他の報告では、医学的に説明できない、
慢性疼痛例が30~53%
これは日本全人口あたり:100万人に該当する
(Creed F unexclained symptoms に報告あります)
急性疼痛について
原因が明確です。
適切な安静、内服、局所麻酔などの治療に反応します。
順調に症状が改善していきます。
主に、整形外科疾患、外傷、手術後などが該当します。
慢性疼痛
改善が乏しく3~6か月以上の疼痛が継続する。
慢性疼痛で注意すること
放置しないで、危険信号の疾患(red flagと言います)
がないかについて確認をします。
診察所見を含め、追加確認・検査が必要な疾患に
悪性腫瘍、骨折、感染、心疾患、血流障害、骨壊死などがあります。
以前検査をしていても、現在の状況に応じたものを
スクリーニング検査する必要があります。
血液検査やレントゲン・MRI画像検査など勿論、
専門医による診察、手術、入院加療が必要な場合は適切な専門外来へ
ご紹介いたします。
(当院ホームページご紹介施設を参照ください)
例えば、背部の慢性痛の原因が、内科的疾患のこともあります。
以上にてred fragが確認されない時には
慢性疼痛について当院で加療を行っていきます。
また、交通事故後の治療にて慢性痛が起こるケースがあります。
交通外傷後の頚部外傷は起こりやすいですが、
一般的には治療と共に寛解します。
しかし、一部には慢性化し、多彩な症状が起きますので
他科とも協力して加療に臨みます→外傷性頚部症候群です。
関節リウマチが隠れているときがあります。
その他の原因となるもの
感覚過敏
:刺激により痛みが増強する
生活環境
:家族、学校、職場などの不満
生活習慣
:独自のくせや習慣がある痛みの原因となる。
例:歩き方、座位のくせ
睡眠不足
➡筋緊張、疲れの改善困難から慢性痛、睡眠薬を安易に使わずに、
運動量、食事、嗜好品の改善へ
慢性疼痛の既往がある
心理的要素
抑うつ、気分の落ち込み、不安、運動恐怖
性格要因
運動に対する不安や恐怖心が強く、または、かたよった考え方
例:0か100かの発想→適度に行うことができず一生懸命に行い過ぎる。
急性と比べ改善することが難しくなります。
慢性疼痛の治療方法?
(リンクあり、クリックしてください)
運動療法と薬物治療はエビデンスがある報告がみられる
一般に急性疼痛で使う内服:抗炎症剤などでは
効果が期待ができない。徐々に減量していく
慢性疼痛の中心になる内服は以下になります。
▽オピオイド鎮痛薬、抗うつ薬、抗てんかん薬など
痛みが長期化している原因を確認し、その部位に
効果的な薬を処方します。
例えば、痛みを過敏に感じてしまうこと、
痛みを感じる部分に原因があります。
その部位に効果がある薬にする必要があります。
効果判断には数週間以上、使用する必要があります。
数日で中止すると、効果判断ができませんので、
診察時に医師と十分相談します。
▽漢方薬
急性疼痛で一般的に使用する治療薬に反応しない。
しかし、漢方薬が有効なことがあります。
単独ではなく、前述の内服、神経ブロック等と併用使用することが有効である。
西洋薬は冷やす効果の薬はあるが、温める効果薬は選択肢が極めて少ない。
漢方薬は、体中から温める効果により痛みが軽くする。
冷えがある人は、鎮痛薬や神経ブロックの効果が出にくい。
麻黄附子細辛湯などを利用。
漢方薬の利点は、高齢者、子供、運転、仕事をする時間帯にも
眠気を気にすることなく使用することができる利点があります。
慢性疼痛のリハビリ:急性疼痛と異なるアプローチが重要。
運動には、痛みを改善する効果があります。
運動、筋肉増強により痛み改善効果があり、運動による
痛み改善のデータが確認されています。
一般的にはリハビリにより疼痛改善の効果があります。
しかし、慢性痛では効果が乏しいことがあります。
生活習慣の分析、運動する意味について説明します。
メンタルからのアプローチが重要
動かさないことは結果的に痛みが慢性化する。
痛みを過度に解釈すると、動かすことに恐怖心を持つことになる。
患者が痛みを自分でマネージメントすることをゴールとする。
無理のない小さなゴールの積み重ねを続ける。
患者様自身に応じたアプローチを続けます。
まとめ
京命クリニックにご相談ください。
早期に痛みを改善し、慢性疼痛を作らないことは大切です。
内科疾患など他の原因についても再考が必要で、
痛みに対して大変デリケートである状況を理解し
生活状況、精神面からの運動アプローチが必要です。
痛み拘り過ぎず、早期に日常生活に戻ることを目指し
急性疼痛とは別の疾患として治療していきます。